経営改善・事業再生
売上が落ちた。材料が上がった。コロナだった。金融機関が貸してくれない。——どれも本当のことです。ただ、これは船が転覆した理由を「波が高かった」「風が強かった」と説明するのに似ています。同じ嵐に遭って、沈む船と、沈まない船があります。
違いは、操船の技術、日ごろの整備、判断の早さ、無理をしない決まりごと。つまり体制と習慣です。波は止められませんが、こちらは変えられます。返済が重くなってからのご相談を、この見立てから始めています。
こんな状態からのご相談です
ひとつでも当てはまるなら、まだ手は残っています。返済を止めるという判断は大ごとですが、遅れるほど選べる手が減ります。
同じ海でも、進み方は変えられます。
経営改善計画策定支援事業(405事業)
金融支援——リスケジュールなど、返済条件の見直し——を伴う本格的な立て直しが必要なとき、国に認定された支援機関(認定経営革新等支援機関)が経営改善計画の策定を支援する制度です。通称「405事業」と呼ばれています。計画づくりにかかる費用の一部には、補助が出ます。
実際に動くのは、事業者と、取引金融機関と、各都道府県にひとつ置かれた中小企業活性化協議会という公的機関、そして支援機関です。協議会は国の認定を受けた中立の立場で、一行の都合だけで話が進まないよう間に立ちます。初めて金融機関との交渉に臨む経営者にとって、ここが味方についているかどうかは、心細さがまるで違います。
業績は、ある日いきなり悪くなるのではなく、段階的に下がっていきます。ところが危機感のほうは、切羽詰まるまで動きません。ぎりぎりまで我慢して、いよいよという段になって相談に来られると、打てる手はもう限られています。
本当は、その真ん中あたりで動きたいのです。「まだ大丈夫かもしれないが、このままだと厳しい」という時期がいちばん立て直しやすいと、現場で感じています。まだ資金が残っていて、選択肢があり、金融機関との関係も壊れていないからです。
進め方
まず状況をうかがいます。制度を使うかどうかは、その後の判断です。使わないほうがいい場合もはっきり申し上げます。
いま何か月もつのか。ここが分からないまま進めることはできません。会社に合った形の資金繰り表を一緒に整えます。精度より、更新が続く形であることを優先します。
財務と事業の両面から、実際のところを確かめます。帳簿の数字と実態がずれている部分、返済の原資がどれだけあるか、事業のどこで稼げているか。ここを曖昧にすると、あとの計画が絵に描いた餅になります。
なぜこうなったのかを、事実の連鎖として並べます。犯人捜しではありません。社長個人を責める手前で止め、繰り返しを生んでいる体制と習慣のほうを特定します。ここに納得がないと、計画は実行されません。
やることは大きく3つ。事業構造(何を残し、何をやめるか)、業務改善(売上とコストと管理体制)、財務構造。実施する候補を出しきってから、優先順位をつけます。
できあがった計画を、取引金融機関に説明します。説明するのは社長です。私は資料と組み立てを用意し、想定される質問への備えを一緒にします。押印の前に、必ず目を通していただく段取りにします。
計画は出して終わりではありません。実行するのは社長で、私がするのは伴走支援です。定期的に進み具合を確認し、ずれたら直します。約束した相手は金融機関であり、私ではありません。
正直に、先にお伝えしておくこと
この仕事について
経営改善計画策定支援は、2022年に認定経営革新等支援機関の認定を受けてから、単独で担当しています。診断士向けのマスターコース「経営改善指導・助言 実践講座」では、この進め方を3日間かけてお話ししました。研修でお話ししている内容を、そのまま現場でやっている、という形です。
数字を見るだけの仕事ではありません。返済に追われているとき、経営者はたいてい、誰にも本当のことを話せずにいます。まずそこから始めます。
お問い合わせ
西達郎中小企業診断士事務所 TN Network
神奈川県横須賀市
活動地域:神奈川県を中心に全国